こんにちは、春巻きです。
こちらの漫画、見たことありますか?
yanmaga.jp
「亜人ちゃんは語りたい」です。亜人(デミ)ちゃんです。
「『亜人』とはちがうの?」
はい、違います。
というか同じ時期に連載していたし、まぎらわしいよね。
個人的には『亜人』の方が有名な気がします。
「亜人」という、普通の人間とは少し違う特殊な能力や性質を持つ人たちがいる世界。
とある高校の生物教師 "高橋鉄男"は、そんな亜人達に学問的な興味を持っていました。
しかし、絶対的に数が少なく、プライバシー保護が浸透した現代社会では実験はおろか、会うこともできませんでした・・・
そんな平凡な日々の中、今年は3人の亜人(ヴァンパイア、雪女、デュラハン)が生徒として入学していたことを知ります。
突然現れたチャンスに困惑する高橋先生ですが、彼女らはみな年相応に悩みを抱えた生徒でした。
持ち前の聞き上手と生物学の知識を駆使し、教師らしく悩みを解決していこうとする高橋先生。
同僚の教師(サキュバス)との恋模様や、友人の物理学者とのロマンあふれる議論などがありつつ、青春を謳歌する3人の亜人ちゃんたちを中心とした日常は進んでいきます。
ここまでがあらすじです。
そして、最後まで日常が続きます。
え?
「結局どうして亜人がいるの?」「亜人ちゃんたちはこれからどうなるの?」「物語としての結論は?」とか、気になることをたくさん残したまま、物語は幕を閉じます。
正直、テコ入れしようと思えばできると思います。
たとえば
のような感じにすることもできると思います。
しかし、この漫画はあくまでも「生徒(もしくは先生)の精神的成長を描く漫画」として一貫しているのです。
これを「盛り上がりに欠ける」という言い方もできるかもしれません。
ただ、私は「リアルな青春漫画」だと思いました。
私たちの世界は、不思議に満ちているでしょうか?
そんなことはないと思います。よほどの夢想家や天才でない限り、人生の多くの時間は退屈です。
亜人というファンタジーな存在がいるにも関わらず、「もしいたらこんな感じだろうな」を描写するのがとても上手なのです。
その結果、彼らにとても親近感を抱くことができるのです。
「友人になるには?」「恋をしたら?」「夢を持つこととは?」という、誰もがかつて抱えていた感情を、亜人ちゃんを通して振り返ることができるのです。
むしろ、人間の主人公よりも。
あくまでも亜人という特徴はそれらを引き立てるスパイスであって、メインではないのです。
わたしが最も好きなのは、デュラハンの町京子が思いを寄せる鉄男に振られてしまうシーンです。
あえて顔だけのセリフのないコマが22回(多い!)続き、表情の移り変わりだけで町の感情を表現しています。
このコマ割りは、デュラハンで首だけの町ちゃんだからこそ映えています。
それゆえ、少女が勇気を振り絞って想いを伝え、それが尊敬できる大人に誠意をもってお断りされる、という思春期の感情をとてもシンプルに読者に伝えることができています。
あくまでもデュラハンであることは、町という人間の「一つの魅力」なのです。
「亜人であること」「普通の人間であること」をとてもバランスよく描き切っています。
物語としての振れ幅は、正直あまりありません。
しかし、等身大の主人公たちが、少しだけ成長するのを見ることができます。
それは青春をとっくに過ぎてしまった大人には、とてもまぶしく、繊細なものに感じるのです。
全部で11巻です。
「今棚にある漫画と雰囲気が合わないので、並べたくないな」という方は、Amazon Kindleで買いましょう。
ちなみにアニメもあります。
高橋先生の声(諏訪部順一)がイケメンすぎます。
今回は亜人ちゃんの気持ちにフォーカスしましたが、ヴァンパイアなどの空想生物を科学で解決していこうという作中の試みや、ちょっとしたギャグも好きですね。
ちなみに、原作終了後に公式読み切りが出ていました。
高橋先生爆発すればいいのに。
ではまた!