『少女終末旅行(漫画)』のはなし
はい、投稿2回目にして無事日記ではなくなりましたね。
春巻きです。
こちらの漫画、見たことありますか?
https://www.amazon.co.jp/dp/B074BT9JYN?binding=kindle_edition&searchxofy=true&qid=1709895943&sr=1-2-catcorr
タイトルにもあるように、「少女終末旅行」という漫画です。
「女の子がゆるゆる旅していく漫画なんですね?」
はい、その通りです。
「少女」と「旅行」がタイトルにありますもんね。
ただ、「終末」なんですよ。
世界の終末って、みなさんは何を思い浮かべますか?
核の炎に包まれた199X年のモヒカンが跋扈する砂漠でしょうか?
神となったAI同士の水爆戦争で破滅した地上の姿でしょうか?
巨大な蟲と瘴気の世界と隣合わせに生きる風の谷の風景でしょうか?
どれも絶対に嫌だ。
自分が生きている間には絶対に巻き込まれたくない。
だけどこういう背景のSF、めっちゃ好きなんですよね。。。
さて、この漫画の世界も、ゆるそうに描かれていますがなかなかに厳しいものです。
主人公であるチトとユーリは、コンクリートの壁と柱で階層化された超巨大都市の中を、愛機ケッテンクラートに乗って旅をしていきます。
無機質な地面と建物、それらを縫う配管。そして雪が常に視界を覆います。
限られた水と食糧を大事にしながら、故障しがちな車を修理して、2人はこの階層化された都市を上へ上へと昇っていきます。
戦争から逃げる直前におじいさんに言われた「上に行け」という言葉をたよりに・・・
あらかじめ伝えておきますと、この漫画は「なんでこの世界が崩壊してしまったのか?」というセカイ系SFにありがちなミステリーには解答をくれません。
ところどころに「こういうことかな」と思わせるくらいの描写があるにとどめています。
この漫画の主題はこのような世界の「絶望」そのものではなく、「絶望との向き合い方」を描いたものだからです。
2人は様々な出会いと別れを繰り返していきます。
地図を作って歩くカナザワ、飛行機を自作しようとするイシイ、魚を見守る自律型ロボット、得体の知れない動物ヌコ。
それぞれが自分の生きた証を2人に見せながら、同時に世界とともに「自分はどう終わるか」も教えてくれるのです。
彼らは生きた人間や動物だけでなく、人間がこの世界に残してきた文化にも出会います。
「科学技術」「宗教」「音楽」「娯楽」など、それらに文化の無限の連なりを感じながら、少しだけ自分たちの足跡を追加していきます。
わたしが最も好きなのは、廃屋から「びう」と呼ばれる飲み物を見つける場面です。
これはおそらくビールのこと。月によく似た黄金色をしたその液体を飲み干した2人は陽気に踊り出します。
モノクロで寂しい都市と、大きな月。そして楽しそうにはしゃぐ2人。
「いつかずっーと高くまで登ってさ…」
「月に行こうよ」
「いいね…」
しかし、ここまで見てきた読者にはわかるのです。
この世界は厳しくて、容赦なく「絶望」なのです。
ここで2人の心にお酒の力で現れる「希望」では、この先どうにもならないのです。
ただ、この瞬間はどうしようもなく美しいと感じるのです。
終わる世界の果てにたどり着いたとき、2人は何を思うのでしょうか?
全6巻なので、結構サラッと読めます。
「ちょっとタイトルで棚に置きにくいな」という方は、Amazon Kindleで買いましょう。
アニメもあります。漫画での感動が8割増しぐらいになりますが、残念ながらラストまでは映像化していません。 わたしにイーロン・マスクと同じくらいのクソデカ資産(非課税)が発生したら、真っ先に続きをアニメ化しようと思います。
それでは、「終末旅行がはじまるぞ!」
ではまた!